はじめに


 食品科学研究室は、地域資源創成学部の地域産業創出コースに所属しており、「食品機能」の視点から社会に貢献することを目指して、教育、研究活動に取り組んでいます。何故「食品」という主に農学分野で学ぶ教育研究を地域資源創成学部で取り組んでいるのかを、まず最初にお伝えいたします。

 

  今日、我が国の地域社会は、少子高齢化・人口減少、グローバル化、さらには地方分権の進展と厳しい財政状況等様々な課題に直面しています。特に、少子高齢化が加速度的に進行する中山間地域を抱え、後継者不足や若者の県外流出、グローバル化に伴う産業間競争の激化により地域社会経済全体が衰退傾向にある宮崎県などの地域では、持続可能な地域創成と地域産業の振興に向け、地域資源を経済的価値に転換できる仕組みや、国内外市場の開拓やリンケージ構築、地域活動の有機的連結とその活性化を実現できる人材の存在が強く望まれています。

 

 このような社会情勢を背景に、地域資源創成学部では、「マネジメントの専門知識」と「社会・人文科学、及び農学・工学分野の利活用技術の基礎知識」を教授する異分野融合のカリキュラムを構築するとともに、研究者教員と実務家教員とが協働した実践的教育、宮崎県全域をフィールドとした実習や国内・海外インターンシップによる地域の方たちと一体となった協働教育を導入しています。本教育を通して、「企画力」「実践力」の育成を図り、地域の活性化に不可欠な社会を牽引するイノベーション創出に向けたマネジメントの知識と、地域資源の価値を複眼的に捉える視野を持った人材を養成し、地域から要望が高い、実社会で即戦力として活躍できる人材の輩出を目指しています。

 

 地域資源創成学部に所属する当研究室では、異分野の知識を基盤として「食」に軸足を置いた教育研究を推進しています。近年のライフスタイルの変化により、食を取り巻く環境もまた劇的な変化を続けています。食の多様化が進むことで、社会が求める食が日々目まぐるしく変化する時代を迎えており、食の現場では常に社会に応答することが求められています。例えば、ビジネスの現場では”美味しいもの”、”体に良いもの”、”時短に繋がるもの”など、多様な消費者のニーズに対応する必要があります。日本では人口減少やフードロスが問題となっている一方で、世界人口は年々増加しており、栄養源としての食の確保も今後重要な課題となっています。更には、医食同源という言葉があるように、食生活は、私達の生命維持、成長、健康維持に欠くことができない営みです。食生活を改善することで、多くの生活習慣病を予防し、日々の生活の中で生活の質(QOL)を向上させることが出来ます。このように、食一つを切り取ってみても、私達は様々な課題を抱えています。私達は、すべての人々が豊かで平和に暮らし続けられる社会をめざし「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成するべく「食」の観点から研究を進めています。本研究室では、食を複眼的に捉え、多分野の知識を生かした食品の開発や地域活性化、食育の推進等に、行政や企業、地域団体と協同で取り組んでいます。

 

 

 

 当研究室は、2016年4月に開設した研究室です。豊かな食を未来に繋ぐことを目標として、学生の皆様、地域の皆様と研究室を創り上げて行ければと考えております。当研究室の目標に興味のある進取果敢な大学生・高校生の皆様、地域の皆様、是非当研究室の活動にご参加下さいませ。

 

 

 

 

地域資源創成学部 地域産業創出コース

食品科学研究室

准教授 山﨑有美